研究


  • 概要

    省エネルギー,温室効果ガス削減に貢献する2種類の革新的モータの研究開発を行っています。電気自動車やハイブリッド自動車の主機モータへの応用を目指して,レアアース磁石を用いずに,高性能を実現するスイッチドリラクタンスモータの解析,設計,試作,実験,評価を行っています。また,次世代モータとして,機械的ベアリングを用いずに,電磁力によって回転軸を磁気支持する磁気浮上ベアリングレスモータの基礎研究を行っています。

    本研究室の研究テーマは,電気,機械,情報,電子を融合した内容であり,幅広い知識と技術を身に付けることができます。また,実機を設計・試作し,実験することを大切にしています。モータの研究を通して,ものづくりの重要性を学ぶことができます。

    overview

    ◆研究

    ベアリングレスドライブ、スイッチドリラクタンスドライブ

    ◆研究分野,キーワード

    パワーエレクトロニクス、磁気浮上工学、電気機器学、制御工学、電力工学 磁気軸受、高速回転、電動機、発電機、高効率ドライブ、インバータ、デジタル制御

  • ベアリングレスドライブ

    「浮かせて回す」磁気浮上ベアリングレスモータ

    機械的なベアリングが不要で,電磁力により回転軸を磁気支持しているモータ。

    近年,モータの小型化・高速化・高効率化が進み,今後もその要求が高まると見られています。しかし,現状の機械的ベアリングでは,一般的に,高速回転時に機械損が増加するため,回転速度が制限されていまします。そこで,本研究室では,機械的ベアリングが不要で,電磁力により回転軸を非接触で磁気支持可能なベアリングレスモータの研究開発を行っています。

    ベアリングレスモータは,無摩擦・無摩耗・メンテナンスフリーなどの利点があるため,高速回転用途に限らず,ベアリングの故障が多い用途,長時間の連続運転が要求される用途やメンテナンスが困難な場所に設置される場合にも大変有効です。したがって,冷却ファンや風力発電機などへの応用を目指して,研究開発を行っています。

    Bearingless Fan
    structure_belm

  • スイッチトリラクタンスドライブ

    スイッチドリラクタンスモータ(SRM)は,固定子及び回転子が鉄心と巻線のみで構成され,永久磁石を使用しないため,安価で堅牢である利点があります。 現状,市販のハイブリッド自動車の主機モータには,永久磁石が使用されていますが,レアアースの供給不安や価格変動の問題から,永久磁石を用いないSRMへの関心が高まっています。

    しかし,スイッチドリラクタンスドライブには以下の4つの課題があります。

    (i) 低トルク密度

    (ii) 低効率

    (iii) インバータが特殊

    (iv) 振動・騒音が大きい

    これらの困難な課題に果敢にチャレンジし,これまで(i)(ii)を解決するモータ構造に関する研究開発を行いました。設計段階では,モータの3Dモデルを作成し,磁界解析ソフトを用いて,シミュレーションを行い,構造を検討します。また,良いシミュレーション結果が出たとしても,その結果のみでは評価されず,実験結果が重要です。そこで,ハイブリッド自動車用と同じ体格で,同じトルク,出力を発生させることが可能な,60 kWの実サイズの試作機を製作し,実験的に有効性を実証しました。

    この研究成果は,SRMが永久磁石モータに匹敵する性能を出すことが可能であることが,実サイズの試作機で実験的に実証された世界初の事例であり,世界中の企業や大学から注目を集めています。

    structure_srm
    transition_efficiency

    振動・騒音の低減

    SRMの振動・騒音は20年以上前からの課題であり,低減方法に関する論文は多数存在しますが,顕著な低減効果はありませんでした。

    本研究室では,2012年頃から本研究テーマに取り組んでいましたが,最初の2年間は成果が出ませんでした。2014年頃に,固定子ヨーク部のラジアル力の和の脈動を低減するように電流を流すことで,振動・騒音が低減可能となる革新的方法を提案し,実験的に有効性を実証しました。

    本研究テーマでは,SRMの振動・騒音が大幅に低減可能となるメカニズムを数式による基礎理論の構築,磁界解析を用いた数値シミュレーションによる検証,試作機を用いた実験的検証により明らかにすることができました。この研究成果は,学術的な価値だけでなく,産業応用においても多大な貢献となっています。